『人の一生は重荷を負て遠き道をゆくがごとし、いそぐべからず、不自由を常とおもへば不足なし、こゝろに望おこらば、困窮したる時を思ひ出すべし、堪忍は無事長久の基、いかりは敵とおもへ、勝事ばかり知りて、まくる事をしらざれば、害其身にいたる、おのれを責て、人をせむるな、及ざるは過たるよりまされり。』

生存競争の激しい現代の常識では、スピードが第一、ぼやぼやしていては世間に取り残されると思いがちである。徳川家康の一生を見れば、天下制覇への道を一歩一歩踏みしめ、着実に目的を達成した。徳川３００年の歴史を開いたのだ。その一生は「忍」の一字である。

人間は誰しも得意の時があり、失意の時がある。私の人生である、何か事を起こそうと決意したならば、たといつまずいたとしても、この言葉を思い起こし足場を固め、正しく信じた道を一歩一歩踏みしめていっていただきたい。それが栄光・勝利への道である。