春暁（しゅんぎょう）・・・・・・・孟　浩然（もう　こうねん）

春眠（しゅんみん）暁（あかつき）を覚（おぼ）えず、　　処処（しょしょ）に啼鳥（ていちょう）を聞（き）く。

夜来（やらい）風雨（ふうう）の声（こえ）、　　　　　　　　　　　花（はな）落（お）つること知る多少（たしょう）。

＊『通釈』・・・春のあかつきは、陽気がよく、寝ごこちがたいへんよいので、ついあけ方も知らぬほどである。夢ごこちの中に、あちこちにのどかな鶯の鳴く声が聞こえる。そのまま寝床の中で、ふと思いだしたことがある。それは、昨晩風雨があったが、あの雨では、庭の木々の花も、さぞ、むざんにも散ってしまったのではあるまいか。あのように美しく咲きほこっていたのに、どうも心配なことである。