理趣経（りしゅきょう）　百字の偈（ひゃくじのげ）

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菩薩勝慧者（ほさつしょうけいしゃ）　　乃至盡生死（だいししんせいし）
恒作衆生利（こうさくしゅうせいり）　　而不趣涅槃（じふしゅでっぱん）

般若及方便（はんじゃきゅうほうべん）　　　智度悉加持（ちとしつかち）
諸法及諸有（しょほうきゅうしょゆう）　　　一切皆清浄（いっせいかいせいせい）

欲等調世間（よくとうちょうせかん）　　　令得浄除故（れいとくせいちょこ）
有頂及悪趣（ゆうていきゅうあくしゅ）　　調伏盡諸有（ちょうふくしんしょゆう）

如蓮體本染（じょれんていほんぜん）　　　不為垢所染（ふいこそぜん）
諸欲性亦然（しょよくせいえきぜん）　　　不染利群生（ふぜんりきんせい）

大欲得清浄（たいよくとくせいせい）　　　大安楽富饒（たいあんらくふうじょう）
三界得自在（さんかいとくしさい）　　　　能作堅固利（のうさけんこり）

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菩薩（ぼさつ）は勝（すぐ）れし知慧（ちえ）をもち、
なべて生死（しょうじ）の尽（つ）くるまで
恒（つね）に衆生（しゅじょう）の利（り）をはかり、
たえてねはんに趣（おもむ）かず。

世（よ）にあるもの[＝方便（ほうべん）]も、
その性（さが）[＝般若（はんにゃ）]も、
智慧（ちえ）の度（およ）ばぬものはなし。

もののすがた[＝有（う）]も、
そのもの[＝法（ほう）]も、
一切のものは皆（みな）清浄（きよ）し。

欲（よく）が世間（せけん）をととのえて、
よく浄（きよ）らかになすゆえに、
有頂（すぐれし）「天」（もの）もまた悪（あく）も、
みなことごとくうちなびく。

蓮（はちす）は　泥（どろ）に咲（さ）きいでて、
花は垢（よごれ）に　染（けが）されず。
すべての欲（よく）もまたおなじ。
そのままにして人を利（り）す。

大（だい）なる欲（よく）は清浄（きよき）なり、
大（だい）なる楽（らく）に富（と）み饒（さか）う。
三界（このよ）の　自由身（じゆうみ）につきて、
堅（かた）くゆるがぬ利（り）を得（え）たり

(金岡秀友編著　「理趣経」東京美術)より