１．わたしはこのように聞いた。或るとき尊師は、ベナレスの〈仙人の集まるところ・鹿の園〉にとどまっておられた。そこで尊師は修行僧たちに告げられた。・・・「修行僧たちよ」と。それらの修行僧たちは、「尊いお方さま！」と答えた。

２．尊師は次のように説かれた、・・・「わたしは完（まった）き注意により、完（まった）き努力により、無上の解脱（げだつ）を体得し、無上の解脱を証得した。修行僧たちよ。そなたらも完（まった）き注意により、完き努力により、無上の解脱を体得せよ、無上の解脱を証得せよ。」

３．そのとき悪魔（あくま）・悪（あ）しき者は、尊師に近（ちか）づいた。尊師（そんし）に近づいてから、尊師に詩（し）を以（もっ）て語（かた）りかけた、・・・「あなたは悪魔のきずな（わな）で縛（しば）られています。・・・天界（てんかい）のきずなと人間のきずながありますが・・・・・・。あなたは悪魔の縛（いまし）めにしばられています。修行僧よ。わたしはあなたに解脱されることはないであろう。」

４．〔尊師いわく、・・・〕「わたしは悪魔のきずなから解き放たれている。・・・天界のきずなでも、人間のきざなでも・・・・・。わたしは悪魔の縛（いまし）めから解（と）き放（はな）たれています。そなたは打ち負かされたのだ。破滅（はめつ）をなす者よ。」

５．そこで悪魔・悪しき者は「尊師はわたしのことを知っておられるのだ。幸せな方はわたしのことを知っていられるのだ」ときづいて、打ち萎（しお）れ、憂（うれ）いに沈み、その場で消え失せた。

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