大師寺 お知らせ

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お知らせ

大師寺 からのお知らせ

2011年07月06日

耕作者

サーヴァッティー市がゆかりの場所である。そのとき尊師は、諸の修行者たちに、ニルヴァーナに合致する法に関する講話によって、説き示し、勧め、励まし、喜ばせた。またそれらの修行僧たちは、意義を理解し、注意し、心の全体を傾倒し、耳を傾けて、教えを聞いた。

そのとき悪魔・悪しき者は、このように思った。ーー「ここで修行者ゴータマは、諸の修行僧たちに、ニルヴァーナに合致する法に関する講話によって、説き示し、勧め、励まし、喜ばせた。またそれらの修行僧たちは、意義を理解し、注意し、心の全体を傾倒し、耳を傾けて、教えを聞いた。では、わたしは修行者ゴータマに近づいて、眩惑してやったらどうだろう。」

さて悪魔・悪しき者は、農夫のすがたを現し、大きな鋤(すき)を肩にかけて、長い〈牛追いの棒〉を手にして、髪をふり乱し、大麻の衣を着て、足は泥まみれたままで、尊師に近づいた。近づいてから尊師に次のように言った、ーー

「修行者よ。牡牛を見ましたか?」

「悪しき者よ。どうしてお前は牡牛に用があるのか?」

「修行者よ。眼はわたしのものです。色かたちはわqたしのものです。眼が(対象に)触れて起こる識別領域はわたしのものです。修行者よ。そなたは、どこへ行ったら、わたしから脱(のが)れられるだろうか?

修行者よ。音声はわたしのものだ。聴覚作用はわたしのものだ。聴覚作用が〔対象に〕触れて起こる識別の領域はわたしのものだ。そなたは、どこへ行ったら、わたしから脱(のが)れられるのだろうか?

嗅覚作用はわたしのものだ。香りはわたしのものだ。嗅覚作用が〔対象に〕触れて起こる識別領域はわたしのものだ。そなたは、どこへ行ったら、わたしから脱(のが)れられるだろうか?

舌はわたしのものだ。味はわたしのものだ。舌が〔対象に〕触れて起こる識別領域はわたしのものだ。そなたはどこへ行ったら」、わたしから脱(のが)れられるだろうか。

身体はわたしのものだ。触れられるものも、わたしのものだ。そなたは、どこへ行ったら、わたしから脱(のが)れられるだろうか?

心はわたしのものだ。心で考えられるものも、わたしのものだ。心の接触から起こる識別領域は、わたしのものだ。そなたはどこへ行ったら、わたしから脱(のが)れられるだろうか?」

「悪しき者よ。眼はそなたのものである。色かたちは、そなたのものである。眼の接触から生じた識別領域は、そなたのものである。

しかし眼が存在せず、色かたちが存在せず、眼の接触から生ずる識別領域が存在しないところには、そなたの行くべき通路は存在しない。

悪しき者よ。聴覚器官はそのたのものである。音声はそのたのものである。聴覚器官の接触から生ずる識別領域はそなたのものである。

しかし聴覚器官が存在せず、音声が存在せず、聴覚器官の接触から生ずる識別領域が存在しないところには、そなたの行くべき通路は存在しない。

悪しき者よ。嗅覚器官はそなたのものである。香りはさなたのものである。嗅覚(きゅうかく)器官の接触から生ずる識別領域は、そなたのものである。

しかし嗅覚器官が存在せず、香りが存在せず、嗅覚の接触から生ずる識別領域が存在しないところには、そなたの行くべき通路は存在しない。

悪しき者よ。舌はそなたのものである。諸々の味は、そなたのものである。舌の接触から生ずる識別領域は、そなたのものである。

しかし舌が存在せず、諸々の味が存在せず、舌から生ずる識別領域が存在しないところには、そなたの行くべき通路は存在しない。

身体はそなたのものである。触れられるものは、そなたのものである。身体の接触から生ずる識別領域は、そなたのものである。

しかし身体が存在せず。触れられるものが存在せず。身体から生ずる識別領域が存在しないところには、そなたの行くべき通路は存在しない。

悪しき者よ。心はそなたのものである。考えられるものは、そなたのものである。

しかし心が存在せず、考えられるものが存在せず、心の接触から生ずる識別領域の存在しないところには、そなたの行くべき通路は存在しない。」

【悪魔いわく、ーーー】

「人々が『これがわがものである』と語るところの物、『[これは]わがものである』と語る人々、ーーーそなたの心がそこにとどまるならば、修行者よ、そなたは、わたしから脱(のが)れることはできないであろう。」

【尊師いわく、ーーー】

「人々が〔わがものであると執着して〕語るところの物、それは、わたしに属するものではない。

〔執着して〕語る人々がいるが、わたしはかれらのうちの一人ではない。

このように知れ。悪しき者よ。そなたは、わたしの行く道も見ないであろう。」

そこで悪魔・悪しき者は、「尊師はわたしのことを知っておられるのだ。幸せな方はわたしのことを知っておられるのだ。」と気づいて、打ち萎れ、憂いに沈み、その場で消え失せた。

・・・・・・ブッダ