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2011年12月01日

彦根。 松原下屋敷(お浜御殿)庭園特別公開

この松原下屋敷の庭園は、優れた造園技術を駆使(くし)し、琵琶湖の水や山の自然を活かして造られています。琵琶湖の水位と連動して汀(てい)線(せん)(波打ちぎわ)が変化する汐入(しおいり)形式の手法を用いた池を中心に、・・・

http://www.biwako-visitors.jp/search/event_10448.html

名勝「松原下屋敷(お浜御殿)」は、11代当主井伊直中(なおなか)により文化7年(1810)ころに琵琶湖畔に造営された下屋敷です。彦根藩のもう1つの下屋敷である槻(けやき)御殿(玄宮楽々園)とは立地や趣も異なり、公式性を離れた井伊家の内向きの、庭園を主体とした下屋敷でした。
松原下屋敷の庭園は、優れた造園技術を駆使し、琵琶湖の水や山の自然を活かして造られています。琵琶湖の水位と連動して汀線(ていせん)(波打ちぎわ)が変化する汐入(しおいり)形式の手法を用いた池を中心に、西側は洲浜(すはま)の広がる穏やかな景観とし、東側は築山(つきやま)(庭に築いた小さな山)が折り重なる深遠な趣となっています。13代当主井伊直弼の時代には、「がけ之御茶屋」「南台之御茶屋」「通天之御茶屋」「菊之御茶屋」の4棟の茶室も要所に設けられていたようですが、現存していません。
明治4年の廃藩置県後、彦根における井伊家の居宅はこの屋敷が用いられ、明治22年には玄関棟や大広間が増設されました。庭園については、昭和57年度に奈良国立文化財研究所(現在の奈良文化財研究所)により調査が実施され、彦根市教育委員会でも平成12年度に庭園や歴史的建造物の調査、植生調査、そして測量調査などを行いました。これらの調査により、松原下屋敷の庭園が玄宮楽々園とは様相の異なる大名庭園であり、近世の大名文化を理解する上で欠くことのできない貴重な文化財であることが明らかになりました。そこで平成12年度には彦根市指定文化財(名勝)に指定し、さらに翌平成13年度には国の名勝指定を受けました。また、平成14年度からは彦根市が管理団体となり庭園の維持管理を図るとともに、公有地化に努めています。
今後、公有地化に目処が立った段階で、国の補助と指導を得ながら、庭園や歴史的建造物の保存修理を実施し、公開していく予定です。名勝松原下屋敷は、彦根市民の大切な宝であり、また新たな観光資源としても期待されます。

そこで、いまだ整備の途中ではありますが、松原下屋敷の現状を期間限定で皆さんに特別に公開することにいたしました。新緑の名勝庭園をご堪能ください。






※汐入形式:海水の干満を利用して池の景色を変える庭園技法。汐入式の池をもつ旧大名庭園としては、浜離宮恩賜庭園(はまりきゅうおんしていえん)(東京都)や養翠園(ようすいえん)(和歌山県)などが知られていますが、松原下屋敷の庭園は淡水(琵琶湖の水)を利用した汐入形式の手法を用いた、わが国唯一の庭園です。